「悩みが多い人」とは

『努力は楽しいものですが、結果が出なければ、それはただの「努力という趣味」。
目的があるなら、無駄なことをせず最短距離で能力を上げる戦略を実行すべきです。』

…とは東大工学部から同院に進み脳神経医学を研究された中野信子さんの言葉。

世の中には、
こういう考え方を全力で支持する人と、全力で否定する人がいます。

基本的に、
協調性を重んじる社会・集団では歓迎されない傾向にあり、
個性を重んじる社会・集団においては尊ばれる傾向にありますが、

これはどちらが正しくてどちらが誤っているというお話ではなく、

協調性を重んじる人は、「努力という趣味」をみんなで楽しみ、その分大して進歩しない、発展しないという現実を甘受し、
個性を重んじる人は、「努力の先に確実な結果を出す」ことに満足し、大衆には好かれない、という現実を甘受すべきである、ということだろうと思います。

世の中で悩みが多い人はどういう人かといえば、
協調性を重んじ「努力という趣味」をみんなで楽しみながら、「努力の先に確実な結果を出す」ことを目指す人、
「努力の先に確実な結果を出す」ことに向かいながら社会・集団で歓迎されることを目指す人です。

Aという行動はAにしか行きつかない、
Bという行動はBにしか行きつかない…にも拘わらず、

Aという行動をしながらBに行きつかないと怒り、
Bという行動をしながらAに向かっていると笑う人、
…というのは、具体的に言えばそういうことです。

ゴールを明確にすることが重要なのは、
「行き先を見失わないため」と説明されることがありますが、
実際には、ゴールを明確にすることで「適切な道筋」という戦略を立てることができるからです。

さて、そういう「適切な道筋」が見えている人から見ると、
その矛盾した道のりを歩んでいる人というのは、とても奇妙なことをしているように見えます。
実際には「奇妙」というのは初期の印象であり、
それが続くとだんだんと不快感を覚えるようになり、さらにそれが続くと怒りがわいてきます。

「怒り」などと書くと、驚かれそうですけれど、

「宿命から逸れている人」の人生というのが、
最初のうちは停滞感として現れ、だんだんと行き詰まるようになり、放っておくとまわりの環境が壊れ始め、
その先において本人も淘汰されることになる、あの段階的な死に向かう様子と同様に、

「適切な道から逸れている人」の人生というのも、
最初のうちは不調和感として現れ、だんだんと不快感を覚えるようになり、放っておくと怒りを感じはじめ、
その先においてその関係が終わっていく(その人との縁が切れていく)

そういう「関係」という存在が淘汰されていく段階の最終局面として「怒り」があるのではないか、…と思っています。

ちなみに、
「適切な道から逸れている人」というのは、だいたい3年以内に消えていきます。

だいたいその活動をやめている、
そこからいなくなっている、
その活動は続けているけれど場所を変えている(関係者がほぼすべて変わっている)
…というように思いますがどうでしょう。

これは前に、
自分が勤務する会社の悪口を一生懸命言っている人は、その会社が傾く、
自分が養ってもらっている夫の悪口を盛大に言っている主婦は、その主婦の立場が揺らぐ、
職場などで陰で嫌がらせをしたり陰口を言っている人はその場所を追われる、
…という法則にもつながっていてます。

なお、ここで「怒り」を感じるものはすべてNGなのか?といえば、
正しい道筋を捉えられている、
道理を知るほどに成熟している、
…という前提がない「怒り」は稚拙な怒りであり、この限りではないように思います。

例えば、聖賢といわれるような人も怒ることがある、
そういう怒りの先にあるものは、いずれ廃れる、ということです。

冒頭の「努力」の話でいえば、
「努力は楽しい」というそれは、
適切な道筋においてなされているものであれば、
たとえば戦略やゴールがなくても、適切な結果や存在感を得るものであり、

逆に、適切な道筋ではない「努力」であれば、
それが鬼気迫るような努力であったとしても、適切な結果や存在感を得るのは難しい、
ということになるのだろうと考えます。

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