己の「命(めい)」を知ることの大切さ

安岡正篤先生の『「陰騭録」を読む』のお話の続きです。

このご本には、「逆境にこそ古教に学べ」という言葉が出てきます。

苦しいとき、迷うとき、しんどいとき、どうにもならないとき、
そういうときほど、
心を静めて古人の教えを学ぶことが一番間違いのない解決方法である、

…とあるのですが、
なるほど、確かに私は、
古典を学ぶようになって、
「理不尽にして前近代的な職場環境」の中でやさぐれていた心が落ち着きを取り戻し、
近しい友人にも驚かれるほど前向きになることができました。

なぜ、古典を学ぶべきなのかといえば、
良質の古典を読めば、「歴史は繰り返す」ということを腹から理解することが出来、
時間というのは循環しているのだということを知ることができるからです。

時間というのが絶え間なく循環しているなら、
「逆境」に正しく対処をすれば、その先に道が開けることを確信することが出来るので、
自分が揺らがなくなります。

自分が揺らがなくなれば、もはや怖いことなどないですね。

さて、さらにこのご本では、

「知らず知らずの間に、人間の厳粛な原理・原則が定まっており、
その原理・原則を把握することが大切である」

…ともあって、
そもそも安岡先生は細木数子先生に占術を授けた方だけに、
東洋の占術にも造詣が深くてあられるので、
「命(めい)を知る」ということの大切さについても説いておられます。

先ほど、時間の循環のことを書きましたけれど、
自分の「命(めい)」を知っていれば、
世界にめぐる時間の循環のほかに、「自分自身の人生における時間の循環」を知ることができるので、
人生を計画的に、適切なタイミングでアクションを起こしながら生きていくことができます。

なお、「命(めい)」といって、
変えることができないものであるわけではなく、
与えられた自分の「命(めい)」を活かすことにより、
いかようにも変えることができます。

いってみれば「自分の人生のルール」は決まっている、そのルールが「命(めい)」であり、
そのルールでもって何をするか?というのは自分に委ねられているということです。

これはつまり、「人生のルール」というのは、
人それぞれ異なる、ということでもあります。

…このあたりは、中殺がある人とない人のルールが異なる、
異常干支がある人とない人のルールが異なる、
…ということを見れば、理解できるところと思います。

そしてさらに、

そもそも易というのは、君子のために、
吉に趨(おもむ)き、凶を避ける方法を説いたものであるが、
もし「命(めい)」が決して変わらぬものならば、
吉にどうして趨(おもむ)くことができるのか?
凶をどうして避けることができるのか?

…とあるのですが、

易経には、
「善を積んできた家には、その一代だけではなく、
必ず子孫にも及ぶ慶福がある」とあり、

こうしてみると、
己の「命(めい)」を知り、正しく生きることの大切さがよく分かるな、と思いますがどうでしょう。

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