「慇懃な言葉」を選ぶことの有効性と使う場面

先日、徳目のお話のところで、
礼徳、つまり何かを伝えるときには礼儀が必要である、ということを書きましたが、

その話の続きで、
腹が立つときほど大切な慇懃さと、
その慇懃さのもたらすものについて書いておこうと思います。

不満と文句、怒りの言葉というのは、
慇懃な言葉を選んだほうが、相手にきちんと伝わります。

「慇懃無礼」という言葉はありますけれど、
少なくとも「慇懃な言葉」を使っている限りは誹りを免れるわけで、

怒り心頭に達する、というときであればあるほど、
慇懃に、礼儀に則った在り方を採用することが大切です。

その慇懃さを大切にする、
…ということができれば、

多少怒ったところで、
その後の関係を損なわず、
また自らの立場を危うくすることもありません。

なお、ここで慇懃さを採用することを推奨するのは、「敵を作らないため」というわけではありませんし、
慇懃なものの言い方、礼儀にかなった言い方というのはいわゆる「敵をつくらない言い方」とは別モノです。

世の中、「敵をつくらないこと」を推奨する風潮がありますけれど、
まわりが味方ばかりになったら思うように身動きが取れなくなり、
だんだんとそれにも馴れてしまった先に、人間として鈍くなっていくもの。

実際、
身近に友達がたくさんいます!とか、
みんな仲良くつるんでます!とか、
…いう人を見れば、

身内同士で褒め合い慰め合い、
5年、10年前と同じ場所、同じ面子と、ぬくぬくとつるんでいる人たちが大半で、

そういう生き方が向く人ならまだいいですが、
そうした在り方が自分の人生を損なうようなタイプの人は、
その「敵をつくらない」ことこそが自分をどんどん沈めていっている、ということもありますね。

ちょっと過激な言い方ですが、

敵をつくってこそ開かれる道、
敵をつくることことでこそ発展する人、
…というのは確かにいます。

そういう人がぬくぬくしていると、どんどん他人の肥料になるので気を付けましょう。

例えば、そんなふうに、
他人に利用され茹でガエルのようになって、
他人の肥料になっていっているような人について
慇懃に、言葉を選びつつ表現するとすれば、

そういう方々は、日を追うにつれ、どんどん鄙(ひな)びていっておられて、
成長や挑戦、あるいは学びや美しさとは一線を画すその世界で人生を完遂されようという風情が強く感じられます。

…みたいな感じに、
キレイな言葉が並ぶけれど、
まるで決して褒めてない、むしろ侮蔑しているような言い回しを使えば、

穏当に敵を作ることができます笑

ちなみに、そういう、
「もはや成長や挑戦に向かわない鄙びた人」というのは、
だいたい発声というか、言葉の質からしておかしいので、聞く人が聞けば多分、すぐに分かるのですが、

その言葉の様子というのは、

いわゆる宿命から逸れている人
=星図を十分に消化していない人
=自分の持つ回路に適切にエネルギーが流れていない人

…そういう人たちの言葉が、
上滑り、空回り、零れ落ちていくかのように、耳に入ってこないものだということを書いた、
あの感じとも似ているように思います。

言葉のエネルギーが適切に流れるその度合いというのは、
言葉がどれだけ多くの人に伝わるのか、というその影響度と比例するのですが、

だいたい、宿命を逸れたり、星図未消化であったりする人たちというのが
同じように宿命を逸れたり、星図未消化の人たちとつるんでいるのを見ていると、

あの言葉が通る度合い、宿命の消化度合いというのは、
人間同士で関わることができる「次元」にも比例していて、

言い換えれば、
自分の親しい人たち、日ごろ一緒にいる時間が長い人たちの様子を見れば、

自分の立ち位置=宿命の消化度=星図の消化度=言葉の影響力

…が、分かるのだろうと思いました。

そういう次元というか立ち位置というか…が、かけ離れている人とは、
どう頑張っても本当の意味では仲良くなれませんね。

その意味でいえば、
「私はこんなすごい人と仲いいですよ?」
…と、思う人は、自分が「単なるお客さん」である可能性について、真剣に考えたほうが良いかもしれません。

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