SBI北尾社長の『強運をつくる干支の知恵』

SBIホールディングスの北尾社長が5年くらい前に書かれた『強運をつくる干支の知恵』という本があります。

 

この本は、
私が立体五行説の存在を初めて知った本であり、それが算命学に向かうきっかけになったという意味で深い恩義のある本なのですが、
たまたま日頃お世話になっている方が北尾社長と慶應大学の同級生で、この本の増補版をプレゼントされたときいて増補版が出版されたと知り、早速読んでみました。

 

読んでみて驚いたのは、
冒頭の「はじめに」において、高尾義政算命学宗家と鴇田正春氏の書籍を参考にしたことが書かれていたこと。

 

ちなみに、
鴇田正春氏というのは日本生産性本部で委員などもされた政府における算命学のブレーンのような人で、その著書は政界や財界における有力者の方々などに広く支持されています。

一般書で時代論について説いているのは多分この方の本くらいです。

…が、それも多くが高尾宗家による『悠久の軍略』などの小冊子に寄る部分が多いので、
その意味ではこの北尾社長の本はその多くが高尾宗家の著書に拠っていると言っても過言ではないかもしれません。

 

実際、
「本文でも随所で引用したいと考えています。」
とあるのですが、増補される前の本においてはこの記述はなかったように思います。

増補にあたりこの記述を入れたのは、恐らく前の本においてかなりの高尾宗家や鴇田正春氏の著書にある理論との重複が見られたため、誰かしらからの指摘があったからでは?と推測しますがどうでしょう。
(私はそのおかげで立体五行説、そして算命学に向かうことができたので、むしろ感謝しています。)

 

いずれにしても、
前回は「そのままの形での引用」を避けるあまり、そこはかとない軽さと多少の物足りなさのある本だったのが、今回は思い切ってガッツリ引用しておられる分、読みごたえのある本に仕上がっているように感じられました。

 

なお、高尾宗家と鴇田氏のほかに、
かねてよりご紹介している安岡正篤氏のご著書からの引用も多く、
このお三方の本を愛読している私にとっては「新しい本を読む」というよりは、
「同じ人たちに学ぶ人と語り合う」ような感覚で読むことが出来たように思います。

 

とはいえ、
財界の大物たる立場を慮ってか、端々に「常識人」であろうとする記述、東洋思想に興味のない(あるいは胡散臭いと考える)人たちをケアするような記述があちこちにあるので、既に東洋思想をある程度深めている人から見るとまどろっこしさのようなものを感じるかもしれません。

 

このあたりは、
若年期に天報星はまわるものの、壮年期に現実感ある天印星、晩年期に身強の天禄星がめぐるからなのか、
そもそも団塊の世代で東洋思想の理解者が少ないことを認識した上での配慮なのか、
はたまた東洋思想に疎い人に読んでもらうことを企図した一般書での出版だからなのかは分かりませんが、「ちょっと寄り道が多い」と感じる点でもあります。

 

しかし全体で見れば、
高尾宗家のご著書からの引用も多いですし、算命学の基礎的な理論や概念について深い理解に基づいて説いておられ、たいへん勉強になる本でしたので、興味のある方は是非読まれることをお勧めします。

 

そういえば、
先日、「国力を高める」ということについて書きましたが、この本の帯にも「国運を高める」ということが書いてあり、この方も国力、国運というものを意識しているようで、やはりこういう意識は大事なんだろうと改めて思いました。

 

個人的には、金融グループの社長が堂々と算命学を語っておられること、そういう時代になったことが嬉しかった本でもあります。
そのうち、銀行にも「東洋史観部」とかできないかな?など妄想をしてしまいますが果たして。

Photo by 五玄土 ORIENTO on Unsplash

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